パルプは製造の方法によって化学パルプと機械パルプ、古紙パルプに分かれます。それぞれのパルプについての特徴とエネルギーや必要な木の量という観点で比較します。
パルプの種類
パルプの分類として製造方法でわけると、
- 化学パルプ
- 機械パルプ
- 古紙パルプ
に分かれます。パルプの原料はほとんどの割合で木材なのですが、木材は無数の繊維細胞から成り立っていて、それぞれの繊維細胞はリグニンという物質で接着されています。その繊維細胞を1本っずつばらしたのがパルプで、どうやって分解させるかの方法で化学パルプと機械パルプに和分かれます。
化学パルプ
化学パルプは接着されているリグニンを化学的に分解してパルプにします。リグニンは茶色の有色物質であることから、これを取り除くことで漂白がしやすくなります。また長い繊維を得ることができるため強度が強くなります。しかし、化学的に分解することからも、乾燥させた木材からとれるパルプの割合(歩留まり率)は40〜50%と言われています(1)。(文献が1994年と古いのでひょっとしたら今はもっと改善されているのかもしれません。)
機械パルプ
機械パルプは機械で木をすりつぶすようにしてバラバラにして製造する方法です。前述のリグニンを残したままパルプにするため漂白に向かないのと、リグニンは光で変色してしまう性質があるため、変色しては困るものには使えないです。ただし、化学パルプに比べて歩留まり率は高く95%程度となります。
機械ですりつぶす工程でエネルギーがかなり必要となる点が他の方法との違いになります。
古紙パルプ
古紙パルプは使用済の紙をとかして繊維を取り出してつくるものになります。古紙を溶かして、インクを取り除き、漂白するとい過程を経ます。白色度が低く、木材パルプの85%程度に比べて70%程度になります。
パルプの種類によるCO2発生量
機械パルプや化学パルプ、古紙パルプのCO2排出量を比較します。日本製紙連合会・LCA 小委員会の紙・板紙のライフサイクルにおける CO2排出量によると、下図のようなグラフとなり、機械パルプが一番大きくなります。
なお、注記のところに書いた「化学パルプの黒液余剰エネルギーを考慮していないため、他のパルプと単純に比較することは出来ない。」という点についてですが、化学パルプを作成する際の廃液には薬品とリグニンが溶けていて、その廃液が黒液と呼ばれていて、リグニンが重油のように燃えるためそのエネルギーを活用して発電することでパルプ化にかかる電力をまかなうことができるのですが、それを加味していないということです。
いままでの書いた内容をまとめると下図のようになります。
参考資料
(2)紙・板紙のライフサイクルにおける CO2排出量|日本製紙連合会・LCA 小委員会