企業の中の印刷物を整理・可視化して
無駄なくより良いものに
SDGsへの取り組みや環境負荷への配慮などが広まりつつある昨今、「なるべく環境に負荷をかけない方法で印刷物を作りたい」「環境に良いインクを使ってほしい」といったリクエストの声も増えています。私たち伸和印刷では、「印刷物のサスティナビリティ」のご提案として、印刷物を印刷するタイミングでの配慮はもちろん、より上流工程からの工夫も共に考えられるよう、サービスを提供しています。
伸和印刷が提供するサービス
- 印刷物の現状の可視化
- 方針策定
- 設計
- 環境に配慮された印刷
>> 詳しくはサービスページへ
69年間、紙を使った印刷会社を運営しながら木々や資源、そして環境問題と向き合う中で、私たちは「印刷物利用を減らすより、利用する森林資源を減らすこと」が重要なのではないかという考えに行きつきました。もちろん、不要な印刷物を制作する必要はありませんが、それでもやっぱり「紙媒体だからこそ」の価値や想いが存在しているのは事実です。
だからこそ、「紙を使うことに罪悪感を抱かせる」のではなく、「利用する森林資源を減らす方法を共に考える」存在になるべきだと考えました。
そもそも、気候変動への対応として原生林の保護が重要であるという声も多い中で、森林の減少は現在も続いています。インドネシアでは紙の会社に大きな面積の森林を開発する権利が割当てられていたり(※1)、カナダではひとつの州だけで、国が報告する7倍の森林伐採がされていたという事例もありました(※2)。また、FSCという森林を持続可能な形に管理する仕組みがありますが、 earthsightなどのNPO、NGOなどから運営の問題点の指摘をされている面もあり、今はまだ「その仕組があれば安全」と言い切れるわけでもありません(※3)。
日本では企業内での古紙利用率がまだまだ低い部分もあり、「利用する森林資源を減らす」視点で精査すると、まだまだ工夫する余地がありそうだと感じています。
※1キープ・フォレスト・ スタンディング ボルネオ森林フットプリント評価2021 RAN
※2 CANADA UNDER-REPORTING DEFORESTATION & CARBON IMPACTS BY FORESTRY 2019 Wildland league
※3 earthsight FSC hall of shame: The ethical wood labelʼs long line of scandals
世界でも進む、企業の「印刷物の可視化」「方針策定」
地球のことを考えた経営にシフトしているAppleやAmazonなどの企業は、印刷物やパッケージに利用している資源の量や素材に着目し、地球環境への影響を鑑みた「印刷物方針書」の作成をおこなっています。
こうした取り組みは、企業として環境問題に向き合う取り組みの前例として世界を牽引していくのだろうと思います。今後、それぞれの企業が取り扱うすべての素材に関して、組織としての方針や、現状での使用状況などをオープンにしていく流れは広がっていくことでしょう。
Appleの紙媒体やパッケージの素材に関する戦略(引用:Apple’s Paper and Packaging Strategy)
伸和印刷が伴走する「印刷物のサスティナビリティ」支援
こうした「印刷物方針書」のようなものを一企業だけで作ろうと思うと、それなりの労力や専門的な知識が必要です。「より良い選択」をするには、印刷の手法や素材について専門的に理解していることが非常に重要になってきます。
伸和印刷では、環境に配慮した方法を提案する、時に「印刷しないことも提案する」印刷会社としての知識や繋がりをもって、企業・団体様の印刷物のサスティナビリティ化を伴走支援することが可能です。
印刷物のサスティナビリティ支援の流れ
STEP1.ヒアリング・概要説明(所要時間:1時間〜2時間)
まずはミーティングの場を設定し、概要についてご説明します。多くの企業・団体様の場合、すでに何らかの印刷物を制作されていることが多いため、「印刷物の可視化」のための専用シートを使って整理していただくことが必要になりますが、その使い方や内容説明なども実施します。対面でもオンラインでも対応が可能です。
STEP2.印刷物の一覧を作成(所要時間:1ヶ月〜2ヶ月程度)
- 基本情報:どの部署で、いつ、何部つくって、どれくらい利用して、どれくらい廃棄したのか
- 関係性/費用:どの印刷会社にお願いして、いくらかかったか
- 仕様/詳細:どのような種類の印刷物を、どんな紙の種類/厚さで、どのようなサイズのものを、どんな印刷方法で作ったのか
これらをまとめるためのシートをお渡ししますので、社内で一覧を作成していただきます。
不明な点がある場合はお問い合わせいただくか、印刷物の現物をお送りいただければこちらで印刷物の仕様については確認することも可能です。
STEP3.印刷物の環境負荷の可視化(所要時間:1週間〜2週間程度)
作成していただいた一覧をもとに、弊社にて現状の印刷物の環境負荷の可視化を行います。
主に計算し可視化する項目
・その印刷物を作成するのに必要な紙の量
・発生するCO2量
・利用する森林資源量
・利用する水エネルギーの量
・発生する廃棄物量
さらに、上記数量の「紙の厚さを変えた場合」の数値もシミュレーションし、森林資源の利用量、発生するCO2量などを削減するための方向性を検討・ご提案いたします。
STEP4.印刷物方針の策定(所要時間:1ヶ月〜1.5ヶ月程度)
3のデータをもとに、今後印刷物を作成する際の方針を検討します。
発生するCO2の量を小さくしたいのか、森林認証の紙の量を増やしたいのか、木の利用量を減らしたいのかなど、各社の状況や目指したい方向性によって選ぶべきアクションも変わってくるため、まずは「どのような方向を目指したいのか」から確認し、共にアクションの検討を進めていきます。
【連携事例】SOLIT株式会社 様の場合
「All inclusive」を掲げ、性別や年齢、国籍、宗教、身体的特徴を問わず誰でも心地良く身につけられるファッションブランドSOLIT!を持つSOLIT株式会社。人だけではなく、動植物や地球環境についても重きを置き、誰もどれも取り残さないことを目指すスタートアップ企業様です。
今回、そうした思想を前提に、商品を郵送する際の同梱物やパッケージ、衣類につけるタグ、パンフレット、POP UPショップの資材などについて、より良く改善することはできないか?とご相談をいただきました。
SOLIT!
現状の印刷物の一覧作成
細かな印刷物で担当者でも把握ができていないものがあったため、その確認から始めました。基本的に必要以上に印刷しないことを意識されていることと、WEBでの印刷発注を実施されているため、印刷物一覧をリスト化するのにはそんなに負荷はかからなかったということでした。また、弊社としても、スタートアップ企業様であることと、普段から印刷量削減に取り組まれている状態だったことから、1週間程度で整理を終えて次へ進むことができた印象です。
印刷物方針の策定
SOLIT株式会社はすでに再生紙の利用や紙の利用料が少なく済むオンデマンド印刷の選択などをされていたこともあり、森林資源の利用量削減についてはかなり取り組みを進められている印象でした。現状を踏まえて、さらにより良い状態にするための「紙の厚さ」「紙の大きさ」「再生紙の比率の高い紙」などを想定したシミュレーションを提案し、それによって減らせる森林資源の利用量やCO2削減量を一覧としてご提示させていただきました。
「印刷済みの予備紙でも再生に回すことは可能ですが、印刷されている紙だと再生紙として使える紙としてのランクは下がる」というお話をお伝えした際に、「服の生地と同じですね」といった反応をいただき、会社として普段から接している服の素材の循環への思考をいつも巡らされてるからだからこその意見だなと感じるお打ち合わせとなりました。
ご興味のある方はお気軽にご相談ください
私たち伸和印刷は、印刷会社であるからこそ、これからの時代に向けて率先して「森林資源の利用を減らす」印刷方法のあり方を広めていきたいと考えています。
まずは部署やプロジェクト単位からでの取り組みでも実施可能ですので、ご希望やご相談がございましたらいつでもご連絡ください。