SDGs

紙のリサイクル時に入れてはいけない禁忌品はどういうものがあるか

サーキュラー・エコノミーを印刷業界で実現させるためには、紙のリサイクルをさらに増やしていく必要があります。昔から古紙再生促進センターや、各自治体などでこういったものはリサイクルに問題があるので入れないでくださいという情報が発信されていますが、改めてここにも書いておきます。難しい専門用語に関しては補足をいれておきます。

家庭でゴミを出す際もそうだし、印刷物を作成する際にも必須でないのにリサイクルに悪影響があるような素材を使うということは避けた方がよいという意味でも知っておくのは大切です

製紙原料とは関係ないので、入っていると重大な障害を生ずるもの

紙以外のもの

石、ガラス、金属(工具、機械部品などを含む)、土砂、木片、布類、プラスチック類など

見た目でわかるので問題ないかと思います。なお、ホッチキスはリサイクルの過程で取り除けるので問題ないです。(が万が一取り除けない可能性も踏まえてとってくれた方が望ましいというようです)

合成紙、ストーンペーパー(プラスチックと鉱物でつくられているので、正確には紙でない)

これは今話題の石灰石でできた紙LIMEXが含まれます。木を使わないという観点ではよい点もあるのかもしれないですが、リサイクルで明確に分けることができることができない限りは避けたほうがよいです。

不織布(マスク、簡易お手拭など)

ペーパータオルとして使っているものでも、パルプではなく不織布のものもあります。例えばスコッティ ファイン 洗って使えるペーパータオル 、ユニ・チャーム クックアップ クッキングペーパーなどは不織布です。(紙のキッチンペーパーでも使用済みのものはリサイクルできません)

使い捨ておむつ、生理用品、ペット用トイレシートなど (未使用のものを含む)

これらの製品はパルプ以外に複数の石油由来の素材が含まれていることから、紙としてリサイクルができません

紙製品ではあるものの製紙原料とならないもの

芳香紙、臭いのついた紙 (洗剤・石鹸・線香などの紙製包装・紙箱・段ボール箱など)

臭いがついた紙はその臭いが再生紙についてしまう可能性があることから禁忌品となっています。

カバンや靴などの詰物

このあとに出てくる昇華転写紙が緩衝材として使われていることが多いことから、禁忌品となっています。

昇華転写紙 (捺染紙、アイロンプリント紙、主に絵柄など布地に加熱してプリントする際に使われる紙)

Tシャツなどにアイロンで加熱してプリントする際につかう紙が昇華転写紙で、これが問題になることが多いようです。作った再生紙の表面に色斑点がでてきてしまう、しかも時間がたって色が出てくるため製品出荷後に出てくる事が多く問題になります。

感熱性発泡紙 (立体コピー紙、主に点字関係で使用されるもので、熱を加えたところが盛り上がる紙)

点字が印刷されている紙などが対象です。判断がつかない場合は盛り上がっている印刷物はリサイクルからはずすとした方がわかりやすいかもしれません。

ろう(蝋) 段 (ワックス付段ボール (例:輸入青果物・水産加工品などが入った箱))

主に輸入生鮮食品に使われていて、ダンボールの表面にワックスを塗って防水加工したものです。これが混ざってしまうと製品の表面に油じみができてしまうため問題があります。色が一般のダンボールと違い、焦げ茶色をしています。

食品残渣のついた紙

ピザの箱など食べ物が直接入っていた袋や箱などは汚れているためにリサイクルにはつかえません。

汚れた紙 (油のついた紙、使い終わったティッシュペーパーやペーパータオル、ペットの汚物処理した紙など)

同様に汚れた紙はリサイクルできません。

医療関係機関等において感染性廃棄物に接触した紙

製紙原料に混入することは好ましくないもの

ほんの少量であれば問題ない(全体の0.3%程度まで)けれども、避けたいのが以下のようなものです。

金・銀などの金属が箔押しされた紙

金や銀の折り紙はそうですし、高級感を出すためにされる箔押し加工は避けた方がよいものになります。

建材に使用される紙 (石膏ボード、ターポリン紙など)

ターポリン紙は展示会などで利用するために作成することが多い横断幕やテーブルクロスなどの材料として使われることが多いです。

圧着はがき(親展はがきなど)

企業のDMでよく使われる圧着はがきは圧着するためののりが悪影響を及ぼすためリサイクルできません。

シール、粘着テープなど (但し、段ボールの場合、粘着テープは禁忌品としない。)

シールに関しても粘着のための糊が問題になるためリサイクル対象となりません。

防水加工された紙 (紙コップ、紙皿、紙製のカップ麺容器、紙製のヨーグルト容器など)

紙コップなどは防水加工がされているため通常の紙としては単純にリサイクルできません。紙カップのリサイクルは何が問題でスタバはどう解決しようとしているのかで紙カップのリサイクルについて紹介しています。また、ビールの6缶ケースの紙も防水加工されているので、リサイクルできません。

ビニール及びポリエチレン等の樹脂・アルミコーティング紙、ラミネート紙

印刷物を作成する場合に冊子の表紙や、名刺の表面などに加工するPP加工というものがこれに含まれます。またお酒の紙パックなどの内側が銀色になっているものもこちらに入ります。

樹脂含浸紙、硫酸紙 (パーチメント紙)、ろう(蝋) 紙 (ろう(蝋) 塗工紙)

硫酸紙はクッキングペーパーやお茶で使う懐紙、トレーシングペーパーのなどです。蝋引きの紙はよくアンティーク風な紙やラッピングなどで使われています。

印画紙 (写真、インクジェット写真用紙、アルバム)

写真などに使われている紙はリサイクルができません。

カーボン紙、ノーカーボン紙 (宅配便の複写伝票など)

申し込み用紙や請求書などに使われている複写伝票用の紙は特殊な染料が使われていてリサイクルができません。

感熱紙 (感熱ファックス用紙、レシートなど)

レシートやFAXなどに使われる紙は熱で溶ける樹脂が表面に塗られているため、リサイクルすることができません。

抄色紙 (判定基準 A、B を除く)※

元々色をつけている紙については、メーカーが指定したその色に応じてリサイクルができなくなっています。一例ですが下記リンクのように各メーカーのページでA,B以外のものは対象外となります。

抄色紙の古紙リサイクル適性について|グリーン購入法関連のお知らせ|日本製紙グループ

古紙リサイクル適性ランクリストについて
古紙リサイクル適性ランクリストについて | リンテック株式会社

新聞折込チラシ、雑誌、カタログに付随したサンプル類(シャンプー、化粧品など)

こちらは紙ではないものですので、対象外となります。

このようにかなり多くのものがあり判断に迷う部分も多いので、これはリサイクルしても大丈夫ということを表すマークがあった方がよいという議論は昔から出ているようですが、まだ実現し一般に広まるようにはなっていないのが現状です。

参考資料

古紙ハンドブック 2019